LCC評価システム(OLCCES) |
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特徴
ライフサイクルコスト(LCC)とは建築物の建設から廃棄までに必要とされる生涯費用のことです。 LCC評価システム(OLCCES)の機能は大きく分けて次の3項目です。 ■ 建物全体のLCC評価 基本計画段階における平立断面図と設備概要を基として、LC計画年数全体のライフサイクルコストを略算レベルで求め評価します。 ■ 部位別のLCC評価・比較検討 外壁、屋根といった建築部位ごとにLCCの観点から最適な仕様を決定するため、各部位についてLCC評価・比較検討を行います。 ■ 地震リスク評価 合理的な耐震グレード選定のため、建物概要、建設地などから建物供用期間における地震リスクを概略評価します。 |
建物全体のLCC評価
初期建設費は建物の生涯コストから考えれば氷山の一角であると言われているように、事務所ビルAの場合についても建設費は全体の17%に過ぎません。水面下に隠れている運用、保全、修繕・更新費といった運用管理費は、建設費の4〜5倍と圧倒的な割合を占めており、運用管理費を含めた総コスト、つまりライフサイクルコストを用いて検討することが必要不可欠です。 事務所ビルAの建物全体LCC算出結果 |
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LCC構成比率 |
LCC年度別累計 |
部位別のLCC評価・比較検討
事務所ビルA(外壁)の部位別LCC算出結果 |
項目 | 建設費(円) | 修繕費(円) | 周期(年) | 更新費(円) | 周期(年) | LCC合計(円) |
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タイル | 56,532,960 | 1,301,573 | 10 | 68,404,882 | 50 | 130,144,133 |
吹付タイル | 7,888,320 | 8,282,736 | 8 | 11,043,648 | 15 | 90,715,680 |
モザイクタイル | 46,015,200 | 1,643,400 | 10 | 57,519,000 | 40 | 110,107,800 |
モザイクタイルとタイルは、初期建設費こそ高額ですが、更新周期が40、50年と長く、修繕費が少額なため30年を越えると吹付タイルを逆転し有利となります。吹付タイルは、初期建設費が最も安く30年間は一番有利ですが、修繕費が高く、更新周期も短いためコンスタントに費用が掛かります。 初期建設費に大きく差があっても、LC計画年数の設定次第でライフサイクルコストは逆転する場合があります。建物使用年数に合わせた適切な仕様を選択することが重要です。 |
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地震リスク評価
耐震対策を施した建物における供用年数50年の間に発生する恐れのある地震による被害は、一般耐震に比べ低減されるため地震リスクで評価すると有利となります。特に免震構造についてはその耐震効果が顕著に現れ、復旧費用も営業損失も少なくて済み、もっとも有利な構造形式であることがわかります。 事務所ビルAの地震リスク算出結果 |
構造形式 | 建設費 (千円) |
1年あたりの損失額 | 供用期間中の損失額累計 | 総耐震コスト (千円) |
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物的損失 (千円/年) |
営業損失 (千円/年) |
物的損失 (千円) |
営業損失 (千円) |
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一般耐震 | 2,103,011 | 3,637 | 8,960 | 181,839 | 448,000 | 2,732,850 |
耐震B | 2,166,104 | 2,117 | 4,480 | 105,862 | 224,000 | 2,495,967 |
免震 | 2,186,030 | 493 | 1,440 | 24,654 | 72,000 | 2,282,685 |
総耐震コストの内訳 |
総耐震コストの年度別累計 |
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