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耐震診断のすすめ

昭和56年に建築基準が大幅に改正され、これ以前の基準に建てられた建物は阪神大震災でも大きな被害を受けた例が多数有り、これらの建物は現在の基準で建てられたものに比べ耐震性能が十分でないことがあります。まずは、耐震診断で建物の耐震性能を確かめましょう。

地震と耐震基準
年月日 地震名/マグニチュード 死者・行方
不明者数
全壊棟数 耐震設計基準の変遷
1891.10.28 濃尾地震 M8.0 7,273 約14万  
1923.09.01 関東大地震 M7.9 142,807 128,266 1920 市街地建築物法施行
1946.12.21 南海地震 M8.0 1,330 11,591 1924 市街地建築物法改正
1948.06.28 福井地震 M7.1 3,769 36,184  
1964.06.16 新潟地震 M7.5 26 1,960 1950 建築基準法制定
1968.05.16 十勝沖地震 M7.9 52 673 1971 建築基準法改正
1978.06.12 宮城県沖地震 M7.4 28 1,183  
1983.05.26 日本海中部地震 M7.7 104 934 1981 建築基準法改正(新耐震設計法)
1995.01.17 兵庫県南部地震 M7.2 6,310 106,247 1995 耐震改修促進法

耐震診断とは

耐震診断とは、現行基準以前(昭和56年以前)の基準によって建てられた建物が、大地震に対して安全かどうかを確認する作業です(図-1参照)。耐震診断の指針としては、阪神大震災の教訓から制定された耐震改修促進法の規定に基づき旧建設省告示第2089号が定められています。
これは、基本的には現行基準以前には規定されていなかった建物の保有水平耐力を求め、建物の耐震性能を評価する方法です。
特にRC造,SRC造の耐震診断基準については、(財)日本建築防災協会の「耐震診断基準・同解説」が一般的に使用されています。この基準は、旧建設省告示第2089号と同等以上の効力を有する耐震診断方法と位置づけられています。

図-1.耐震診断のフロー

この基準における安全性の評価は、構造耐震指標(IS)と判定指標(IS0)とを用いて行い、(1)式を満足すれば「安全(新耐震設計で想定する地震動に対して所用の耐震性を確保している)」、そうでなければ耐震性に「疑問あり」とし、耐震補強などの対象建物となります。
(財)日本建築防災協会「耐震診断基準・同解説」における安全性の評価

IS(構造耐震指標)>IS0(判定指標)  …  (1)

IS=E0×SD×T … E0:保有有性能基本指標、SD:形状指標、T:経年指標
IS0=ES×Z×G×U … ES:耐震判定基本指標、Z:地域指標、G :地盤指標、U :用途指標
構造耐震指標の算定には、1〜3次診断の方法があり、次数が上がるほど詳細な検討を要し、結果の信頼性は高くなります。RC造、SRC造の場合は比較的容易に判定が可能な1次診断をまず実施されることをお勧めします。

耐震補強とは

耐震補強のフローを図-2 に示します。耐震診断の結果、耐震性に「疑問あり」と判断された場合は、補強工事を行う必要がありますが、耐震性能が極度に低い場合には、補強を行わず取り壊すことも考慮する必要があります。まず、建物の耐震性能をどの程度まで改善するのか目標を明確にし、耐震診断結果をもとに建物の使われ方や経年劣化などを総合的に判断し、最も経済的かつ効果的な工法を選定します。

<代表的な補強工法>
【1】強度を増大させる方法
a)耐震壁の増設、b)鉄骨ブレースの増設、c)そで壁の増設、d)壁の増し打ち(壁の増厚、開口の閉鎖による雑壁から耐震壁への変更)

【2】靱性(粘り強さ)を向上させる方法
a)柱のせん断補強(柱断面の増大させる、炭素繊維シートを巻く、帯板を巻く、鉄板を巻く等)、b)腰壁、たれ壁にスリットを設置し、柱の長柱化を図る

【3】 偏心率、剛性率を改善し、
建物全体のバランスを改善する方法

【4】免震または制振部材を設置する方法

【5】建物の重量を軽減する方法

(耐震壁の増設による補強)


(鉄骨ブレースによる補強)


(炭素繊維による補強)


図-2.耐震補強のフロー

助成制度について

耐震診断・改修をするにあたって、補助金や融資制度を設けている行政庁もあります。詳しくは係員にお尋ね下さい。


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